映画『銀河鉄道の夜』を観て
長編アニメ映画『銀河鉄道の夜』
1985年の作品です。
当時テレビで放送されたものをビデオに録画して繰り返し繰り返し見て
台詞もそらで言えるくらい見た大好きな作品です。細野晴臣さんのサウンドトラックも毎日のように聴いていました。
今回初めて映画館で観るという(しかもフィルムで)長年の夢が叶いました。
10代だった当時、この映画を見たあと宮沢賢治の原作を読み
気になった言葉にラインを引いて自分なりの解釈をしてみたり、
夜空を眺めながら銀河鉄道に思いを馳せたりと
心の糧として当時の私を支えてくれた作品です。
『銀河鉄道の夜』は自分を形作るひとつの要素だと思っています。
死者と対話する場所
生きている時のカムパネルラは本当の気持ちを言えなかったけれど、銀河鉄道に乗ってからジョバンニに本当の気持ちを語り出す。
乗客の中で唯ひとり生きている人物であるジョバンニは、この世というかりそめを生きる私たちの姿を投影したものだ。かりそめならむしろ今を大切に生きようとジョバンニは最後に気づき、力強く走り出して行く。
ここより始まる
エンディングテーマが終わると同時に現れる言葉《ここより始まる》
ジョバンニの人生はカムパネルラという永遠の友を得て今始まったばかりだ。
カムパネルラもまた、生の概念という新たな命を得て生きていく。生きているひとも死んでいるひとも場所や時間を超越したところで繋がっている。
答え
生きている者と亡くなった人とのつながりとはなんだろう。
望めば死者と対話ができる。
問うても返事は返ってこないが、
死者に問うことそのものが
対話であり答えの一部なのではないかと
カムパネルラとジョバンニの在り方を見て
自分なりの答えを出せたのではないかと思う。
死もまた生なのだということに。
この難解な物語を知った10代の頃には出せなかった答えです。