Dancing with an Angel

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「An Evening with David Bowie Vol.1」吉村栄一氏 @千駄木Bar Isshee①

5月6日(土)

千駄木のバー イッシーで開催された、

吉村栄一さんによるデヴィッド ボウイのトークイベントへ行ってきました。

吉村さん執筆の本付きです。

 

吉村さんと、デヴィッド ボウイの関わりについて、

改めて、著者略歴から抜粋してご紹介します。

“デヴィッド ボウイに関しては1990年代初頭から多くの媒体に執筆し、2008年の『リアリティ ツアー』から最後の作品『★』までのアルバムのライナーノート執筆を担当」”

ということです。

吉村さんが書かれた文を初めて読んだのは、アルバム『★』の解説でした。

特に、『ラザルス』への理解を深めたくてかなり解説を読み、そこでお名前を認識しました。

 

以前は、『広告批評』(休刊)にいらっしゃったとのこと、意外でした。

音楽雑誌の編集者を経てフリーになったかただと、勝手に思っていました。

そう言われれば天野祐吉さんのDNAを、端々に感じるような···

 

今回のトークイベントは、こちらの著書を踏まえた内容となっているそうなので、

詳しくは、『評伝 デヴィッド ボウイ』をお読みいただければと思います。

 

この日、吉村さんは、舞台「ラザルス」のTシャツを着ていました。

絶対誰とも被らない!と自信満々(たぶん)だったそうですが、

一番前のお客さんが、同じTシャツを着ていました!

モロ被りじゃないですか(笑)。

 

私も席に着いて、最初に目に入ったのが吉村さんのラザルスTシャツでした。

いつか観たい憧れの舞台のTシャツなので、撮影タイムに吉村さんにジャケットを脱いでいただき、一緒に写真に収まっていただきました。

注文つけてしまってごめんなさい!

 

18時スタートで、20時終わりの予定でしたが大幅に延長しました。

基本的な構成は、60年代から、最新シングル曲「ノープラン」までほぼ時系列に、たまに時代を行ったり来たりしながら吉村さんがセレクトした映像や音楽を視聴しながら解説するというスタイルです。

 

デビュー時のフォーク風若者から、ジギーという架空キャラへと変化する様子を、ビフォーアフター風に解説したライブ映像。

ローリング ストーンズに影響を受けたことが良くわかる「Diamond Dogs」のライブ音源。これを聴いた時、昨年の『ステイション トゥ ステイション』まるごと1枚再現ライブで初めて「Diamond Dogs」を聴いて、この曲はストーンズの曲だろうか?と思ったことが頭をよぎりました。

 

「Boys Keep Swinging」の最後にコメディ芝居付きのテレビでの演奏、ボウイがまだ売れていない頃に出演したドラマのちょい役(ええっ?どこに?という感じのほんの一瞬の出演で、一時停止して確認)、2007年に本人役で出演したコメディドラマで、即興でピアノの弾き語りをしたシーンの曲がのちの「Where Are We Now?」へと繋がることなど。この弾き語りがいいのです。こういう大人の雰囲気のライブも観たかったな。ブルーノートとかで。

 

1983年シリアス・ムーンライトツアーで来日した際の大阪公演の音源では、熱狂したファンがステージ近くに押し寄せパニック状態になり、「このままだと始まりませんよ」と主催者側から注意される様子なども。そんなにアイドル的な人気があるとは当時は知らなかったです。びっくり(笑)。

 

ノエビアのCM、小泉今日子キョンキョンが出演したCMの音楽(インスト、とてもレア映像です)など、貴重な映像もたくさん見せてくれました。

 

ボウイが、ストーンズのビル ワイマンを介して細野晴臣さんのアルバムを気に入って、アドバイスまでしていたなどの話は感動するとともに、洋の東西を問わず、たくさんの曲を聴いていた本物の音楽マニアであったことを認識しました。

 

 

話がそれますが、

細野さんのアルバムは、映画『銀河鉄道の夜』のサントラしか持っていないのですが、

このアルバムで初めて、音楽で“魂を解放”する感覚を得ました。

身体ごと宇宙まで持っていかれるような感覚は、10代だった私には衝撃的で、しばらくこの世界に埋没していました。

この映画の原案のますむらひろしさんが、

ライナーノーツで宮澤賢治の世界を「力ではたどり着くことのできない世界」と例えていますが、細野さんはその世界を、音楽で完璧に表現しているのです。

この「力ではたどり着くことのできない世界」は、ボウイのアルバム『★』や、

ジョナサン バーンブルック氏が、その世界観をアートワークで表現した作品に共通するものを感じるのです。

 

ジャケットの羽良多平吉氏によるアートワークも素晴らしいです。ストーリーを持つアートワークだと思います。

タイトルは、たぶんですがエスペラント語で書かれているのでは。

宮澤賢治といえばエスペラント語ですから。

 

閑話休題···

1978年ワールドツアーで来日した際の、NHKホールでの公演の映像。

私が見た数少ないボウイの映像の中で、そしてこれからたくさん見るであろう映像を含めたとしても、たぶんこの公演の映像が一番好きなのです。

この時は「‘Heroes’」で、岩谷宏さんの訳詞字幕付き。吉村さんが、素晴らしい訳で···とおっしゃっていました。

本当にその通りだと思います。

 

初めて聞く曲や映像、初めて知ったことなど、全て新鮮で講義を受けている学生のように、吉村さんの話を聞いていました。 

てんこもりな内容でしたが、吉村さんはまだ喋りたいけど、時間が足りない、つづきは次回!という流れに一瞬なりかけましたが、

バー イッシーのオーナー兼マスター(たぶん)の石田さんが「いいじゃないですか!今回はVol.1ということで。」と、約1時間の延長を快諾。

粋な計らいは、普段からの信頼関係の賜物ですね。石田さんも、大変ボウイにお詳しい方のようです。延長は織り込み済み?

 

延長のおかげで、てんこもり+更にサービス満点なトークが聞けました。

やはりトークもライブがいいですね。

 

そしてこのイベント一番のサプライズ。

···は②でどうぞ。