Dancing with an Angel

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ニューヨーク デヴィッド ボウイゆかりの場所を歩くNew York Theater Workshop

ストランド本屋はブロードウェイ沿いにあります。最寄り駅は、14 St-Union Sq です。

この通りをひたすら南下して、途中で4th Ave.~ラファイエット・ストリートへ入り、

更に南下してE.4th ST.に入り、Bowery Ave.と 2nd Aveの間のブロックに

New York Theater Workshopがあります。

デヴィッド ボウイ最後の仕事、『ラザルス』を上演した劇場です。

このあたりは、NoHoとEAST VILLAGEの間くらいに位置し、小さな劇場が点在しています。

あまりにも小さな劇場で見逃しそうでした。

 

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ここでラザルスを上演し、ボウイさんも舞台稽古を観たり、ワールド・プレミアで挨拶したかと思うととても実感がわかなくて、クローズしている劇場をただぼーっと見るだけの状態でした。

 

2015年12月。亡くなる1ヶ月位前ですね。

ここでワールド·プレミアを終えて、車に乗り込むにこやかな表情のボウイさんが

公での最後のショットとなりました。

舞台挨拶を終えると、倒れ込むようにして休んだなどの記事を読みましたが

作品への強い思い入れが、尋常でない体調の悪さを超えてあの場所に立たせていたのでしょう。

作品を完成させて、ボウイ自身の目で確認できて、開幕に間に合って

本当に良かったと思います。できればこの目で観たかったです。

 

話がそれてしまいますが、

『ラザルス』の舞台サントラの、 Sophia Anne Carusoが歌う「Life On Mars? 」を聴くと、この曲は初めから少女が歌う設定で書かれた曲なのではないかと思えてくるのです。

 ボウイさんがこれを歌う前、「これは愛の曲」だと紹介したというのをどこかで観たか読んだか。自分の中の愛を誰にでもわかるような言葉で表現するのは、本当は不可能なのでしょう。

  

「Life On Mars? 」はファンに向けた曲ではなく、

「自分だけに向けて書かれた曲」だと誰かに気づいてほしくて書いた曲だと思っています。

 この世界観を理解しなくていい、ということを理解する曲。

これは君たちとは共有できない世界。とても個人的なことだ。

というふうに聴こえます。共感を得るために活動しているわけではないのでしょう。

  

劇中では、この歌を歌う少女と主人公は

「そう、僕たちは今自由だ。」(‘HEROES’)と歌い

新しい場所で、新しい家族として共に生きていく決意をして幕を閉じます。

 

 

義理の家族、疑似家族、

人生の再生、魂の再生

 

それがボウイが納得するニュートン、『地球に落ちてきた男』の着地点なのだと思います。

 

 

ボウイは映画のストーリーに納得できなかったと、どこかで読みました。

ニュートンをなんとか故郷の星に還したいと40年ずっと心残りだったのかと思うと。

やはりボウイとニュートンは一心同体で生きてきたのだと思わずにはいられません。

 

 

ニュートンは故郷の星アンシアから、

ボウイはイギリスから異国の地アメリカへ来たのです。

そして再び旅に出たのだと思います。

 

 

この劇場がボウイにとって音楽活動の終着点であったことを

この場所に立ち、この目で確認することができて幸せです。

(2017年6月)