Dancing with an Angel

言葉を見つける追いかけるつかまえる

「An Evening with David Bowie Vol.1」吉村栄一氏 @千駄木Bar Isshee ②

①の続きです。

 

このイベントの一番のサプライズとは?

スタイリストの高橋靖子さんがいらしていたのです。

通称“ヤッコさん”。

言わずもがなですが、ボウイのスタイリングを担当されたかたです。

そのあたりのお話は、高橋さんの著書『時をかけるヤッコさん』にて詳しく書かれているかと思いますので、ご参考までに。

 

鋤田正義さんが、原宿のスタジオで撮影した『“HEROES”』のジャケット写真。

この時、ボウイのリクエストで革のジャケットを用意したのが高橋さんです。

 

今、思い出しても夢のよう。

自分の人生ですれ違いもしないと思っていた、別の世界に住んでいるようなかたと、

同じ空間にいるなんて。

 

個性的だけど、周りと調和するやさしい空気をふわっとまとい、

やわらかさの中にも、流されない強さを感じさせる、そんなかたでした。

たたずまいが、とても美しいと思いました。

 

どうすれば、ずっと女の子の雰囲気のままでいられるのだろう?

彼女だけでも、十分なサプライズなのに

更にスペシャルな宝物を持ってきてくれていたのです。

 

1983年、シリアスムーンライトツアーの香港公演でボウイが着けていたネクタイです。

これは、東京で開催された「DAVID BOWIE is」で展示されていたものだそうです。

このネクタイをみんなでまわして見てくださいと、何だか信じられないことになりました。

 

わくわくしながら受け取った瞬間、

···その後のことは、よく覚えていないのです。

何か別のことを考えていたというか、

「メンズ メルローズ···。これが、80年代に流行ったDCブランドのネクタイ···柄がおもしろい。」

覚えているのはこれだけ。

 

家に帰ってからです。

あれがボウイが着けていたネクタイだと実感したのは。

···遅すぎる。実にもったいない。

今、思い返しても夢かうつつか、みたいな時間でした。

 

今回のトークイベント。

吉村栄一さんのボウイへの尊敬や愛が、凝縮された濃い時間でした。

たくさん語っていただきましたが、印象に残っているのは

若い頃のボウイと、年を重ねたボウイが同じ歌を歌っている映像を比較して、

 

「遠いところに来てしまったけれど、実際は近いのかも。」

 

というような言葉です。

わかるようなわからないような。

まだ、その域に達するには時間がかかりそうです。

 

今度は、90年代をやりたいみたいなこと、仰っていました。

90年代も意外におもしろい、ということらしいのです。

ボウイの90年代···断片的には聴いているけれど

私にとってはまだ未知な世界です。

ティン マシーンから『“Hours”...』。

流れ的に激動な感じが。

 

 

吉村栄一さん

高橋靖子さん

楽しい会をありがとうございました。



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1983年のシリアスムーンライトツアーでボウイが着用したネクタイと吉村さんの著書