Dancing with an Angel

言葉を見つける追いかけるつかまえる

上條淳士 「音楽の部屋」

5月28日に

漫画家の上條淳士さんの個展、「音楽の部屋」に行ってきました。

この日は上條先生のサイン会がありました。

 

スペース カイマンという、日本橋の路地裏にあるギャラリーです。

1階にあるダイニングバーも含めて、ワニマガジン社が経営しています。

 

 

音楽の部屋···

先生の作品と音楽は繋がっています。

音楽の中から作品が生まれ、

作品から音楽が聴こえる、

切っても切れない関係にあると思います。

 

 

そんな、音楽=原画たちを一同に集めたスペース。

だから「音楽の部屋」なのです。

 

 

漫画家さんの個展に行くのも初めてなら、

サイン会など今までの自分には無縁のことでした。

 

上條先生のことは『To-y』連載時から知っていましたが、

男子が読んでいる漫画という認識しかありませんでした。

私が80年~90年代に読んでいた漫画は、別マや白泉社系などの、

少女漫画でした。

 

上條先生の作品についての知識ゼロの私がなぜ個展へ足を運んだのかというと、

デヴィッド ボウイの原画を観たかったからです。

 

先生の描いたボウイを知ったのは、

ボウイの横顔のイラストを『DAVID BOWIE is』の公式ツイッターに寄せていたのを偶然見たからなのです。

見たとたん心を奪われてしまいました。その美しさに。

 

ボウイのアルバム『LOW』のジャケットだとわかります。

右目の星の瞳や髪の毛が空に伸びていくような様を見て

今にも消えてしまいそうな、

でもそうはさせないという意思の強さを感じたのです。

美しいだけでなくボウイの意思を汲んだ魂の絵です。

 

上條先生は絵で説明はしていません。

作品の中に閉じ込められたひとに語らせるのです。

メッセージをたくさん受け取りました。

言葉にはならない程の。

 

1月11日に描かれたということですので、

Bowieが亡くなったニュースを聞いてすぐに描いたのでしょう。

不思議な絵なのです。

見る角度によって、Bowieの表情が微妙に違ってくるという。

ギャラリーで実際の絵を観ての体験です。

 

いつも思うのですが、Bowie本人より美しいのです。

きっと上條先生の思いが描かせているから美しくなってしまう。

 

絵の方から手を差し出して来て、私は迷わずその手を取りました。

いつでも絵の中に入ってきていいよ、と言われたみたいです。

 

あの絵に呼ばれて上條先生のサイン会まで辿り着いたのです。

自然の流れとはそういうことなのでしょう。

 

サイン会はとても静かでした。

お客さんも椅子に座って先生と向き合うかたちです。

とても丁寧にサインをしてくれる先生の手に見とれてしまって、

何か言わなくちゃ!と緊張しながら

Bowieの絵を観にきましたと伝えると、 

まだあったよね?とスタッフさんに確認してくれました。

(会期中、作品の入れ替えを行っているので)

 

先生とファンは同じ場所に立っているのです。隔てるものはありません。

要は人柄なんです。

それが作品に如実に出てしまう。

 

今やっとトーイを読みはじめたところです。(遅いね)

むせ返るような80年代の空気感。肌感覚があります。

夏にまた個展があるようなので、その時まで先生の作品を読まないと!

 

上條先生には、また別のBowieを描いてもらいたいな。

でも、私の中では“スターマン”星の瞳のBowieが一番かな。