Dancing with an Angel

言葉を見つける追いかけるつかまえる

鋤田正義写真展 BLOWS UP David Bowie & Iggy Pop

先日、鋤田正義さんの写真展へ行ってきました。

 

平日の夕方、ギャラリー滞在中は他にお客さんがいなくて、デヴィッド ボウイの曲が控えめに流れる静かな空間を独り占め。贅沢な時間を過ごしました。

 

 

写真、作品を鑑賞するというよりは、

鋤田さん×ボウイ

鋤田さん×イギー ポップ

のフォトセッションをそばで体験しているような気分でした。

 

奇抜な姿も、カッコつけてるポーズも、意外性もどれだけこのひとの前にさらけ出せるか、全て出してしまっていいのか。

また、その表情、表現は自分だけに見せてくれているのか。

ほかの誰かにその表情を既に見せてしまったことがあるのか。

 

まるで、恋人同士の探り合いのようです。

お互いが挑発している。

かと言って格闘しているようではなく、緊張感はあるけれど楽しいセッションであることが伝わってきます。

鋤田さんの前では、思わず本音の自分やら素直な自分が瞬間ぽろっとこぼれるように出てしまうのかもしれません。

結局は人柄なのだと思います。どの仕事もですが。

 

 

大好きな1978年ワールドツアーの来日公演の写真や、メイクをしていない時のイケメン的写真、イケメンじゃない時(落差激しい)

表現、表情が豊か。

 

Heroes”の何枚かの1枚。

うつ向いて左手にタバコを持っている、有名なポーズの写真。

これは、本当に本物の奇跡ショットです。

ボウイが天使の時の瞬間を閉じ込めることができた、唯一の写真なのではないかと思っています。

 

赤がとても美しく再現されている

“火星ひとりぼっち”感の写真も大きいパネルだと迫力があります。 

 

京都の画材屋さんの店先で、ちょこんと所在なげに座っている写真は、ステージにいる妖しいアーティストと同じひとなんて思えない。

「撮っていい?」

「いいよ。」 

という会話が聞こえてきそうな

その時の時間が、今でも続いているようなすてきな写真です。

 

かなり大きいパネルのリアリティ ツアー、連写4枚の作品。

おそらく最後のツアーでしょう。

ボウイ史上で一番、音楽を心底楽しんでいるような、魂からの歌声が聴こえてきそうな作品です。

 

もしかしたらこの頃から人生のカウントダウンが始まっていたのかもしれない、

と思うと込み上げてくるものがありました。

一度も見ることが叶わなかった彼の姿を等身大で、生き生きと目の前に見せてくれる。

こんな情熱的にパフォーマンスをする姿を収めてくれて鋤田さんには感謝感謝です。

 

デヴィッド ボウイは特別な人間なわけではない。

本当はスターマンでも火星のひとでも、ジギーでもない、普通のひとだということが徐々にわかってくるのです。

自分が好きなことを自由にやっただけ。

本来は皆がそうあるべきなのだと、誰もいない空間を何周かしながらそう思いました。

 

あと、ボウイさんとイギー ポップのような、正反対のふたりがどうして親友なのか常々不思議に思っていましたが、

 

イギーの内省性を捉えたような写真を見て

少しだけ理解できたような気がしました。

 

お茶会で正座するイギー。

着物の女性と談笑するイギー。

 

ボウイ&イギーで見ることができたのは

とても意義のあることでした。

 

被写体の内面にまで入って行って、体感したものが写真として再現される。

撮る側も、撮られる側も〈このひとのためなら〉という思いがないと、出来ないことなのかもしれません。

 

 

ギャラリーに置いてあった冊子やチラシなどいろいろともらってきましたが、

展示されている写真が全て載っている冊子は宝物になりました。

 映画『ジギー スターダスト』のチラシも。まだ観ていないので気になってます。

 

ボウイ展とはまた違った魅力のある写真展でした。

このような素敵な写真を素晴らしいプリント技術で再現してくれたキャノンに感謝。

 

BLOWS UP David Bowie & Iggy Pop

品川 キヤノンギャラリーS