フィラデルフィア デヴィッド ボウイゆかりの場所へ
はじめに…
フィラデルフィアで撮った写真のデータをほとんど失ってしまいました…が、旧ブログのキャッシュがウェブ上にまだ残っていたので、そこからなんとか保存しました。オリジナルではないので画質がとても悪いです。
朝ニューヨークを出発して、ペンシルヴァニア州アーミッシュ村を散策、そこから戻る形でフィラデルフィアに来ました。
車の運転はガイドさんにお任せです。ガイドさんとはメールで、あらかじめ行きたいところの希望などを伝えていました。
1974年のデヴィッド ボウイに会いにやって来ました。
フィラデルフィアで私が知っているボウイゆかりある場所は二ヶ所だけですが、彼にとっては音楽的嗜好の分岐点であり、伝説的な場所だと思っています。
タワーシアター
まず訪れたのはタワーシアター。
ライブアルバム『DAVID LIVE』が収録された劇場です。
1974年6月14日、モントリオールからスタートした「ダイヤモンド ドッグス ツアー」と銘打ったツアーですが、9月に「フィリー ドッグス ツアー」になり12月まで続きます。
この半年の間にいろいろあったわけですね。
ここタワーシアターでのステージは7月8日~13日までとなっています。
2016年リマスター盤のライナーノーツによると、録音は8日~12日。
ここだけ6日間と、他の土地に比べて長い滞在となっています。
この1週間後の7月20日に、ニューヨークのマジソン スクエア ガーデンで「ダイヤモンド ドッグス ツアー」は終了。
「ダイヤモンド ドッグス ツアー」が打ち切りになってしまったのは、舞台構成も複雑で制作費もかさみ挫折···
ボウイ様の頭の中を実現させるための周りの大変さは、想像に難くないです。
このツアーでボウイは、メンバー紹介もしないわ、ツアーを続けるテンションもなく飽きるわ儲からないわで、ボウイはじめスタッフも疲弊していたのでは。
「ショウが終わると、みんなが僕のところにクレームを言いにくる」とインタビューでぼやいていたボウイさんです。さぞかし当時のスタッフは大変だったろうな。
「ボウイさん、この予算ではこのセット無理···」
「ここの舞台機構ではこの演出無理···」
「やればやるほど赤字です!」
「セットの搬入搬出···むにゃむにゃ···」
完全に私の妄想ですが、あり得なくはないかも。
ツアーの挫折と同時に、この頃ボウイ自身がソウル音楽へ傾倒していったこともあり、
大幅にプランを変更したツアーが9月から再スタート。その名もフィラデルフィアの犬ツアー。
ツアータイトル変更前に収録された『DAVID LIVE』でもかなりソウルっぽいアレンジになっているので、このフィリー犬ツアーはもっとソウル寄りになっているのでしょう。
再ツアー立ち上げ時期の1974年9月5日に収録されたのが、『クラックド アクター(ライヴ イン ロサンゼルス1974)』ということですね。
試行錯誤しながら形を変えつつも歩みを止めないのは、あきらめない強い意思を持ったひとなのでしょう。(頑固とも言える···)
タワーシアター周辺は人通りも少なく、昼間は大丈夫だと思いますが夜歩くのは怖いかも。
タワーシアターの今後のラインナップが貼ってありました。
シグマスタジオ
「ダイヤモンド ドッグス ツアー」が終了し、「フィリー ドッグス ツアー」がスタートする合間の1974年8月から、アルバム『ヤング アメリカンズ』のレコーディングが始まります。
車で、タワーシアターからひたすら東へ約30分。シグマ サウンド スタジオはフィリー ソウル伝説のスタジオです。
フィラデルフィアの中心街に程近い場所にありました。
ちなみに、この近くに超名門校ペンシルヴァニア大学があります。現アメリカ大統領のトランプ氏は、ここのウォートン校(ビジネススクール)出身です。
フィリー ドッグス ツアーが始まってからも、合間に『ヤング アメリカンズ』のレコーディングをこのスタジオでしていたようです。
このアルバムは、アメリカでのデヴィッド ボウイの存在を根付かせるために作ったようなアルバムだとボウイさんは語っています。
“ヤング アメリカンズ”に媚びた音楽だって売れればそれでかまわない、みたいな心境だったのでしょうか。
フィリー ソウルへの興味も長くは続かず、やはり飽きてしまうのですが。
とは言え、
『ヤング アメリカンズ』での経験がなければ次のアルバム『STATION TO STATION』は生まれなかったでしょうから、フィラデルフィアはボウイの音楽を考える上で決して外すことができない重要な場所だと思います。
シグマスタジオ周辺も、人通りがあまりなくさみしい場所でした。
この伝説のスタジオも売りに出ていました。
少しさみしい感じでしたが
建物が風化したとしても、そこで生まれたものは変わらずに存在しているのだと思います。
(2017年6月)